代替医療の種類「免疫療法」

これからの医療は「代替医療」がカギになる!

QOLを向上させる「代替医療」とは
top middle bottom MENU

免疫の力を利用する「免疫療法」

代替医療の1つ、免疫療法について紹介します。効果が証明されているものに関しては、保険診療の対象になっています。

免疫の力を利用する「免疫療法」

免疫とは

免疫とは、細菌やウイルスなどの異物が体内に入るのを防いだり、排除したりして身体を守る力です。免疫細胞に分類される血液中の白血球などが中心的な役割を担い、その中でもT細胞にはがん細胞を攻撃する性質があります。なお、免疫の状態は日々変化します。

がん細胞を攻撃する力を維持・強化

本来、人間の身体は免疫の力によってがん細胞を排除しています。しかし、T細胞の力が弱まる、あるいはがん細胞がT細胞の働きを邪魔している場合、がん細胞から身体を守ることができなくなってしまいます。免疫療法は、T細胞ががん細胞を攻撃する力を維持する、あるいは強化する療法です。

メインの治療法

臨床実験により、治療効果や安全性が証明された免疫療法は保険診療の対象になります。効果が証明された免疫療法は一部に限られますが、その有効性から多くの医療現場で用いられています。その代表的なものとして挙げられるのが、「免疫チェックポイント阻害薬による治療法」です。免疫チェックポイント阻害薬を使い、免疫が持つがん細胞を攻撃する力を保ちます。
T細胞には「異物を攻撃するな」という命令を受け取るためのアンテナが備えられていますが、同じくがん細胞にもアンテナが備えられています。がん細胞がT細胞と結合し、「異物を攻撃するな」という命令を送ることで、T細胞ががん細胞を攻撃する力が弱まってしまいます。この仕組みを免疫チェックポイントと呼びますが、この作用を防ぐ効果があるのが免疫チェックポイント阻害薬です。
免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法は、2020年時点の標準治療として診療ガイドラインに掲載されています。日本における保険診療の対象であり、治療が行えるがんは「メラノーマ」「胃がん」「腎細胞がん」「非小細胞肺」「頭頸部がん」などです。治療法によっては単独で使う場合と、他の免疫チェックポイント阻害薬や抗がん剤と組み合わせて使う場合があります。

その他の治療法

免疫チェックポイント阻害薬を使った治療法の他に、「エフェクターT細胞療法」があります。これは、患者のT細胞を体外に取り出し、がんを見分けるための遺伝子を組み入れてから、再び体内に戻す治療法です。がん細胞を攻撃する力を強める治療法で、国内で保険診療の対象になるのはCAR(キメラ抗原受容体遺伝子)を用いるCAR-T療法のみです。この治療法は、一部の血液がんの治療で用いられます。
以上が免疫療法の種類や具体的な効果です。興味のある看護師向けに、免疫療法ガイドラインがまとめられている書籍を紹介しますので、こちらも参考にしてください。

がん免疫療法ガイドライン 第3版詳細