海外における、代替医療を取り入れた統合医療の動向を見ていきましょう。
海外では、代替医療を利用するのは男性よりも女性が多いようです。また、高学歴の人、前年に入院した人、喫煙経験のある人なども多く、現代西洋医学と併用して治療を行っています。代替医療に対するネガティブなイメージは日本よりも薄く、新たな医療として受け入れられています。
アメリカでは、1997年時点で国民が代替医療に対して360億ドルから470億ドルを支出しているというデータがあります。このうち120億ドルから200億ドルが現金で支払われており、同年の入院費全体の現金支出よりも多くなっています。また、がん患者を対象にした調査では、75%以上の患者が代替医療を取り入れていることが分かりました。特に多いのは「栄養的アプローチ」「マッサージ」「ハーブ」です。免疫機能の向上を目的としたものが多く、乳がん患者の84%が代替医療を取り入れています。
また、ハーバード大学、コロンビア大学、スタンフォード大学などに代替医療の研究施設を設立し、正式な治療法として取り入れるケースも増えています。
イギリスでは、英国王室基金の援助を受けて代替医療に関するデータ構築が進められています。1991年には代替医療を保険でまかなうことが決まり、今後も研究が進められていくことが予想されます。
ドイツも同様に、代替医療の先進国として様々な取り組みを行っています。いずれの国においても、特にがん治療に大きな効果を発揮しており、死亡者数は年々減少傾向にあるようです。
高福祉医療国であるノルウェー、フィンランド、デンマークも代替医療を積極的に取り入れています。ノルウェーでは、代替医療に関する調査研究が盛んに行われており、中国から専門の鍼灸師や漢方医の招待、日本から納豆などの食品の取り寄せといった、様々な取り組みが進められています。スウェーデンでも大学の統合医療センターを中心に幅広い調査研究が行われており、医療費削減を目的にした国家的なプロジェクトとして代替医療の導入を進めています。
アジアでは、特に中国が代替医療に関する取り組みに積極的です。国立の統合医療センターが建設され、近代的な代替医療を取り入れた治療を行っています。専用の研究施設と産業化施設を建設し、国家的なプロジェクトとして統合医療の産業化を目指しています。
また、韓国にも国立の統合医療センターがあります。中国よりも小規模ではありますが、産業化を目指した取り組みが進められています。