代替医療とは何か、まずは大まかな概要を紹介します。日本ではあまり馴染みのない分野ですが、西洋医学の代替になる医療として期待されています。
代替医療の定義について、日本補完代替医療学会では「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」としています。アメリカでは「alternative medicine(代替医学)」や「alternative and complementary medicine(代替・補完医学)」、ヨーロッパでは「complementary medicine(補完医学)」と呼ばれています。現代西洋医学と同じか、あるいはそれを超える医療が存在するという考えから、日本補完代替医療学会では「代替医療」の名称を用いています。
健康食品やヨガ、漢方、伝統医学など、代替医療の範囲は非常に広い点が特徴です。現代西洋医学は科学的・客観的データに基づいて治療を行うもので、先進国のほとんどで主流となっています。しかし、健康維持のためにサプリメントやカイロプラクティックなどを利用している人も多く、そういった現状を踏まえ、西洋医学以外のものに関しては代替医療に分類されます。
代替医療に見込まれる効果は多岐に渡りますが、代表的なものとして挙げられるのは「副作用の改善」です。例えば、がんの治療で用いられる抗がん剤は、アレルギー反応や吐き気、食欲低下、倦怠感、脱毛などの副作用があります。程度は人によって異なりますが、いずれも患者にとっては辛い副作用です。そこで、副作用の改善に用いられるのが代替医療です。特に多く用いられるのは漢方で、細胞障害性抗がん薬の副作用を和らげる効果があります。これは、保険診療の対象にもなっています。
抗がん剤はがん細胞を攻撃して消失させる効果があります。しかし、抗がん剤による治療は周囲の細胞にも影響が出てしまい、それが副作用として患者を苦しめます。吐き気や食欲低下などの副作用は、患者のQOLを大きく低下させます。そういった際に、代替医療を活用することで患者のQOLを向上させることができます。
以上が、代替医療の大まかな概要です。副作用の改善やQOLの向上など、患者の健康をサポートするための医療として注目を集めています。近年は、代替医療を取り入れる医療機関も増えてきました。
ただし、種類によっては通常の医学校では講義されず、実践範囲も限定されているため、興味があるなら主導的に学びの機会を設けなければなりません。代替医療の種類は多岐に渡るので、どの分野を学び、実践に活かしていけるのかを検討しましょう。